2012年3月22日木曜日

古民家再生-5

屋根の話の続きです。
茅葺の上にトタンをかぶせる工法は、実は完成された工法ではありません。

多くの茅葺屋根が、社会構造の急激な変化で、葺き替えが出来なくなって困った時期。
たぶん、板金職人の中に茅葺職人からの変更組みもいて、考案されたのではないでしょうか。

雪の大して積もらない地域では、茅の上にシートのように鉄板を載せる工法で十分。
そうした工法が、そのまま雪国にまで普及したのではないでしょうか。

大きな勾配の付いた民家の場合、生活している限り、雪は滑り落ちてくれます。
ですから、雪国でも便利な屋根として評価されたのではないでしょうか。

しかし、ひとたび空き家になると、実は会津の雪は屋根にへばり付いてなかなか滑らない。
そうなると、加重で屋根が沈み、そのしわ寄せで軒の先端を壊してしまうのです。

あるいは、只見のような豪雪の地では、屋根から滑り落ちた雪と屋根の上の雪と一体になって、軒先を壊すという現象も良く見かけます。

毘沙沢でも、1月・2月に雪堀に来れなかった1999年、屋根の一部を壊しています。
その時は、屋根が沈み込んで、ストーブの煙突も見事に壊れました。
1999年2月21日、この年初めて毘沙沢に来た時の玄関前。
南西の角がつぶれたように壊されていました。

豪雪地帯の古民家の屋根は、本格的に直すには、茅葺全てを取り払い、新たな小屋組みを作らなくてはならないということかもしれません。
壊れた煙突は自分で直すしかありません(1999年2月21日)。

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